ゲーミングCPU市場で、 AMD の最新フラグシップ・プロセッサーが前例のない供給不足に直面しており、同社幹部は競合他社の関与について大胆な発言をしています。高い人気を誇る Ryzen 7 9800X3D の供給不足は、 CES 2025 で大きな話題となり、プロセッサー市場における競争のダイナミクスを明らかにしています。
供給不足の背景
Ryzen 7 9800X3D は発売以来、主要小売店で数分で完売するなど、深刻な在庫不足に見舞われています。 CES 2025 に出席した AMD の幹部らは、競合の Intel の Arrow Lake プロセッサーの期待外れのパフォーマンスにより予想以上の需要が生まれたと説明しています。 AMD は生産能力の増強を図っているものの、供給不足は続いています。
Intel の Arrow Lake の影響
AMD の Frank Azor は、 CES 2025 のラウンドテーブルセッションで、 Intel の Arrow Lake の発売が期待を下回ったとする注目すべき発言をしました。2024年10月に発売された Core Ultra 200S シリーズは、 Intel Core Ultra 9 285K が前モデルの 14900K と比べて性能が劣るなど、期待外れの結果となっており、これによって多くの消費者が AMD 製品に流れているとされています。
AMD Ryzen 7 9800X3D の仕様:
- コア数:8
- スレッド数:16
- ブーストクロック速度:5.2GHz
- ベースクロック速度:4.7GHz
- L3キャッシュ:96MB
- TDP:120W
- プラットフォーム: AM5
製造上の課題
AMD のもう一人の幹部である David McAfee は、生産増強の複雑さについて明らかにしました。これらのプロセッサーの製造工程は特に時間がかかり、従来の半導体製造に12~13週間、さらに 3D V-Cache スタッキングプロセスに追加の時間が必要です。この長期の製造期間により、需要の急増に対応するには3ヶ月以上かかるとしています。
製造タイムライン:
- 従来の半導体製造:12-13週間
- 3D V-Cache 積層に必要な追加時間
- 総製造サイクル:3ヶ月以上
生産対応
AMD は 7000 シリーズと 9000X3D シリーズの両方で製造能力を増強し、供給不足に対応しています。同社は前例のない需要レベルを認識し、当初の予測を上回る生産規模の拡大を進めています。しかし、複雑な製造工程のため、供給が安定するまでには数ヶ月かかる可能性があります。
市場への影響
この状況は、競合他社の失態が需要パターンに大きな影響を与える現在のCPU市場の状況を浮き彫りにしています。 AMD は Intel の課題を活かしているように見えますが、供給制約は半導体産業における市場での成功と生産能力のデリケートなバランスを示しています。