最近のリーク情報により、 AMD の新型プロセッサー Ryzen 7 9800X3D の詳細が明らかになりました。3D V-Cache テクノロジーの大幅な再設計と、前世代モデルを上回る性能向上が示されています。このゲーミング向け CPU は11月7日に発売予定で、ハイエンドデスクトッププロセッサー市場に新たな波紋を投げかけることが予想されます。
高度な機能を強調した AMD Ryzen 9000 シリーズプロセッサーのパッケージ |
革新的な3D V-Cacheデザイン
最も注目すべき点は、 9800X3D の天板を外した画像から判明した3D V-Cache の実装方法の根本的な変更です。これまでの世代では CCD の上部に配置されていたキャッシュが、新デザインでは演算ダイの下部に配置されているようです。この設計変更により、熱管理が改善され、より高い持続的なクロック速度を実現。従来の X3D プロセッサーの主な制限事項の一つが解決されました。
AMD の革新的な半導体設計のクローズアップ写真で、その先進技術を紹介しています |
印象的な技術仕様
Ryzen 7 9800X3D は、新しい Zen 5 アーキテクチャーに基づく8コア16スレッドを搭載。ベースクロック4.7GHz、ブーストクロック5.2GHzという印象的な動作周波数を実現し、 7800X3D から大幅な向上を見せています。総キャッシュ容量は104MB(L2:8MB + L3:96MB)を維持し、 TDP は120Wで動作。メモリサポートは DDR5-5600 JEDEC 仕様にアップグレードされています。
AMD Ryzen 7 9800X3D の性能仕様を詳細に示す技術仕様表 |
性能の向上
Blender による初期ベンチマーク結果では、前世代モデルと比較して約26%の性能向上を示し、非 X3D モデルの Ryzen 7 9700X をも11%上回る結果を記録。これは、ゲーミング性能の優位性を保ちながら、従来の X3D モデルが抱えていた生産性面での性能制限を克服したことを示す注目すべき成果です。
AMD の技術革新を代表する Ryzen 7000 プロセッサのクローズアップ写真 |
オーバークロック機能
従来の X3D モデルとは異なり、 9800X3D ではマルチプライヤーのロックが解除され、オーバークロック愛好家に新たな可能性を提供します。最大温度閾値も標準の Ryzen 9000 シリーズと同じ95度まで引き上げられています。
価格と市場での位置づけ
正式な価格は未発表ですが、小売店の早期リストでは484ドルから525ドルの価格帯が示唆されています。これはプレミアムゲーミングプロセッサーとしての位置づけを示していますが、最終価格は市場状況と Intel の新製品との競争状況により調整される可能性があります。
熱設計に関する考慮事項
AMD は最適な性能を得るために液冷クーラーの使用を推奨しており、標準の Wraith Stealth クーラーは付属しません。新設計のキャッシュ配置により、前世代の X3D プロセッサーと比較して優れた熱特性が期待され、負荷時のより安定したパフォーマンスを実現できる可能性があります。