AMD が FSR 4 に AI を採用:携帯型ゲーミング PC のバッテリー寿命延長を約束

BigGo Editorial Team
AMD が FSR 4 に AI を採用:携帯型ゲーミング PC のバッテリー寿命延長を約束

AMD は、次世代の FidelityFX Super Resolution(FSR)技術である FSR 4 に人工知能を取り入れ、ゲーミングデバイス、特に携帯型 PC のパフォーマンスとバッテリー寿命を向上させる革新的な取り組みを行っています。

ゲーム体験に没頭する若い男性の姿。ゲーム技術の進歩がもたらす興奮を強調しています。
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戦略の転換

AMD は驚くべき動きとして、次世代 FSR 技術に AI ベースのフレーム生成と補間を導入することを発表しました。これは、ゲームグラフィックス強化における AI に対する同社の従来の姿勢からの大きな転換を示しています。

AMD のコンピューティング&グラフィックスグループのシニア VP 兼 GM である Jack Huynh 氏は、最近のインタビューで、約1年前にこの戦略的転換を決定したことを明らかにしました。この決定は、競争力のあるソリューションを迅速に市場に投入し、グラフィックス技術における AI の重要性の高まりに対応する必要性によるものでした。

携帯型ゲーミングへの注力

FSR 4 は様々なゲーミングプラットフォームに恩恵をもたらしますが、AMD は特に Steam Deck 、 ASUS ROG Ally 、 Lenovo Legion Go などの携帯型デバイスのゲーミング体験の向上に重点を置いています。これらの AMD チップを使用することが多いデバイスは、パフォーマンスとバッテリー寿命のバランスを取る上で大きな課題に直面しています。

Huynh 氏は、FSR 4 がこれらの携帯型ゲーミング PC のバッテリー効率を劇的に改善する可能性を強調しました。この技術は、プレイ可能なフレームレートを維持しながら、1回の充電でのプレイ時間を大幅に延長することを目指しています。

技術的アプローチ

FSR 4 は AI ベースのフレーム生成と補間技術を使用します。このアプローチは、分析的手法やフィルターベースの手法に依存していた以前のバージョンの FSR とは異なります。AI を活用することで、AMD は現在の製品と比較してより優れた効率と画質を実現することを目指しています。

同社は、バッテリー寿命を最大化するためにフレームレートを30〜35 fps にロックするなどのオプションを検討していますが、これはスムーズなゲームプレイと効果的なフレーム生成に課題をもたらす可能性があります。

将来のハードウェアへの影響

AI ベースのアップスケーリングとフレーム生成へのこの転換は、AMD の将来の GPU 設計に大きな影響を与える可能性があります。現在の RDNA 3 GPU には AI 対応のマトリックスコアがありますが、ゲームアプリケーションではほとんど活用されていません。FSR 4 はこれを変える可能性があり、将来的に AMD のグラフィックスカードや APU でより専門化された AI ハードウェアが登場する可能性があります。

競争と市場ポジション

AMD のこの動きは、AI をアップスケーリングとフレーム生成に使用している NVIDIA の DLSS 技術との競争に近づくものです。AMD のソリューションはハードウェアに依存しない方針を維持しつつも、AI への移行により FSR と DLSS のパフォーマンスと画質の差を縮める可能性があります。

今後の展望

FSR 4 のリリース時期の詳細はまだ明らかにされていませんが、この技術は約1年前から開発が進められているとのことです。これは、近い将来にゲームやデバイスに実装される可能性があることを示唆しており、携帯型ゲーミング PC 市場などに革命をもたらす可能性があります。

AMD がこの技術の改良を続ける中、ゲーマーや技術愛好家たちは、特に急速に進化する携帯型ゲーミング PC の分野で、FSR 4 が実際のアプリケーションでどのようなパフォーマンスを発揮するかを熱心に見守ることでしょう。