PostgreSQL ベースの時系列データベース企業である TimescaleDB が、TigerData への大規模なリブランドを発表した。同社は、元来の時系列データに特化した領域を超えて、より幅広いデータベースニーズに対応するため、現代の分析および AI 駆動ワークロードに向けた最速の PostgreSQL を提供するとしている。
TigerData のビジネス指標(2024年)
- 顧客数2,000社
- 8桁中盤のARR、前年比100%超の成長
- 25カ国にわたり300名の従業員
- 投資家から1億8,500万米ドルを調達
- 粗利益率80%超
コミュニティが名称競合への懸念を提起
このリブランドは、既存のデータベース企業との潜在的な混乱について、技術コミュニティで即座に議論を呼んでいる。複数の開発者が、Tiger という名称がデータベース分野で既に混雑していることを指摘しており、TigerBeetle(会計データベース)、TigerGraph(グラフデータベース)、WiredTiger(MongoDB のストレージエンジン)が既に市場で確立されている。
「彼らが別の名前を選んでくれていたらよかったのに -- 例えば TiScaleDB にしてチタンの輝きを与え、Tiger と Timescale の遺産で三重の効果を狙うとか?」
この名称の重複により、複数のデータベース企業が類似した名前を共有することになり、ブランドの混乱への懸念が生じている。一部のコミュニティメンバーは、過去に類似した名前の技術企業で経験した気まずい混同について言及している。
「Tiger」の名前を持つデータベース企業
- TigerData (旧 TimescaleDB )- PostgreSQL ベースの分析データベース
- TigerBeetle - 高性能会計データベース
- TigerGraph - グラフデータベースプラットフォーム
- WiredTiger - MongoDB で使用されるストレージエンジン
時系列データを超えた戦略的転換
このリブランドは、TigerData が専門的な時系列データベースから、より広範な PostgreSQL プラットフォームへと進化していることを反映している。同社によると、クラウドプラットフォーム上のワークロードの大部分はもはや時系列に特化したものではなく、企業がインフラストラクチャ上でアプリケーション全体を実行している。TimescaleDB 拡張機能はオープンソースの提供として継続される一方、同社はベクターデータベースと分析ワークロードへと拡大している。
コミュニティメンバーは変更の背景にあるビジネス上の理由を理解しているようで、同社が時系列というラベルに制限されることを望んでいないことを認識している。この動きは、pgvectorscale 拡張機能を通じた AI アプリケーションとベクター検索機能への注力の高まりと一致している。
TigerData 製品タイムライン
- 2017年: Hypertables
- 2019年: ネイティブカラム圧縮
- 2020年: RAM/SSD 自動キャッシュ
- 2021年: コンピュートとストレージの分離
- 2023年: S3 Parquet への階層ストレージ、ベクトル化クエリ実行
- 2024年: ハイブリッド行列ストア、 pgvectorscale 、300倍高速なミューテーション
- 2025年: 250倍高速なクエリ、読み取りレプリカによる水平スケーリング
開発者コミュニティからの賛否両論の反応
一部の開発者は同社の技術的方向性と製品品質を評価している一方で、確立されたブランドを変更することの賢明さを疑問視する声もある。コンセンサスは、リポジショニングの戦略的価値を見る人々と、既に混雑した市場での不要な混乱と見なす人々の間で分かれているようだ。
同社は 2,000 の顧客、年間経常収益が中位8桁で前年比100%超の成長、投資家から 1億8,500万 米ドル の資金調達という強力なビジネス指標を報告している。名称変更にもかかわらず、TigerData はタイガーのマスコットを維持し、現代のワークロードに向けたパフォーマンス向上とともに PostgreSQL の基盤上での構築を続けている。
参考: Speed Without Sacrifice: Building the Modern PostgreSQL for the Analytical and Agentic Era