Micron が HBM4 メモリサンプルの出荷を開始、2TB/s の帯域幅と60%の性能向上を実現

BigGo 編集部
Micron が HBM4 メモリサンプルの出荷を開始、2TB/s の帯域幅と60%の性能向上を実現

メモリ大手の Micron は、主要顧客への HBM4 メモリサンプルの出荷を開始し、次世代AI ハードウェア開発における重要なマイルストーンに到達した。これは業界初の HBM4 技術の正式サンプリングであり、人工知能と高性能コンピューティングアプリケーション向けの先進メモリソリューション提供競争において、 Micron が競合他社の Samsung や SK Hynix を上回る地位を確立したことを示している。

主要顧客プラットフォーム

  • NVIDIA: Vera Rubin データセンター GPU (2026年後半予定)
  • AMD: Instinct MI400 サーバープロセッサー
  • 市場ポジション: HBM4 を公式にサンプル出荷した初の企業
  • 競合他社: Samsung と SK Hynix が追随予定

革命的な性能向上

新しい HBM4 メモリモジュールは、前世代と比較して卓越した性能向上を実現している。各36GBモジュールは2048ビットインターフェースを通じて2TB/sを超える帯域幅を達成し、前世代の HBM3E メモリと比較して60%という大幅な性能向上を実現している。この劇的な改善は、モジュールの約7.85 GT/sのデータ転送速度に由来し、データを大量に消費する AI プロセッサにデータを供給する能力を大幅に向上させている。

HBM4 vs HBM3E パフォーマンス比較

仕様 HBM4 HBM3E
容量 36GB 最大36GB
インターフェース幅 2048ビット 1024ビット
データ転送速度 ~7.85 GT/s 最大9.2 GT/s
ピーク帯域幅 2TB/s超 最大1.2TB/s
パフォーマンス向上 HBM3E 比+60% -
電力効率 +20%改善 -

先進的な製造技術と効率性

Micron の HBM4 は、同社の実績ある1-beta DRAM プロセス技術と洗練された12層高度パッケージングを組み合わせて活用している。メモリアセンブリは Micron の1ßプロセスで製造された24GB DRAM デバイスを使用し、ロジックベースダイは TSMC の12FFC+ 2nmクラスまたはN5 5nmクラスロジックプロセス技術を使用して製造されている。生の性能を超えて、 HBM4 モジュールは印象的な電力効率向上を実現し、現在のソリューションと比較して大規模 AI システムの消費電力を20%以上削減している。

主要技術仕様

  • メモリ構成: 12段積層設計
  • 製造プロセス: Micron 1β(1ベータ) DRAM プロセス
  • ロジックダイ: TSMC 12FFC+(2nmクラス)または N5(5nmクラス)
  • 特殊機能: Memory Built-In Self-Test ( MBIST )
  • 対象アプリケーション: AI および HPC プロセッサ
  • 量産開始: 2026年予定

戦略的顧客統合

Micron の HBM4 サンプリングのタイミングは、主要顧客の開発サイクルと戦略的に一致している。 NVIDIA の次期 Vera Rubin データセンター GPU は、2026年後半にローンチする際に HBM4 技術を最初に採用する製品の一つになると予想されている。 AMD の Instinct MI400 サーバープロセッサも、新しいメモリ技術のもう一つの重要な統合ターゲットとなっている。 Micron は、次世代 AI プラットフォームを開発するパートナーの統合プロセスを簡素化するため、メモリ内蔵セルフテスト機能を組み込んでいる。

市場リーダーシップと将来展望

HBM4 サンプリングを正式に開始した最初の企業として、 Micron は急速に成長する AI メモリ市場において競争優位性を確立した。同社は2026年のいずれかの時期に HBM4 の量産を開始する予定で、これは主要な AI プロセッサ開発者が次世代チップの量産を開始する時期と一致している。この協調されたタイムラインにより、 AI ハードウェアエコシステム全体でのシームレスな統合と効率的な量産立ち上げが確保され、様々な産業における人工知能アプリケーションの継続的な拡大を支援している。