Grok 3 発表:印象的な技術だが、月額40ドルの価値には疑問

BigGo Editorial Team
Grok 3 発表:印象的な技術だが、月額40ドルの価値には疑問

注目と議論を呼ぶ大胆な動きとして、 xAI は世界最高の AIを謳う最新モデル Grok 3 を発表しました。しかし、大幅な価格引き上げと既存のAIソリューションと比較した実際の性能について、様々な反応が寄せられています。

技術的飛躍

Grok 3 は、前モデルの10倍となる200,000台の Nvidia H100 GPU を使用して学習を行った、大きな計算能力の進歩を示しています。学習プロセスは2段階に分かれており、最初に100,000台のGPUで144日間、その後200,000台のGPUフルアレイで92日間実施されました。この大規模なインフラ投資により、処理速度と性能が顕著に向上しました。

トレーニングインフラ:

  • フェーズ1:100,000個のGPUを144日間使用
  • フェーズ2:200,000個のGPUを92日間使用
  • 総GPU使用量: Grok 2 の10倍

性能の現実

xAI のベンチマークでは、 OpenAI の次期モデル o3 を除く大半の競合を上回る性能を示していますが、実際の使用では異なる様相を呈しています。日常的なタスクでは十分な能力を示すものの、より複雑な課題では苦戦しています。元 Tesla AI ディレクターの Andrej Karpathy を含む著名なAI専門家らは、 Grok 3 の能力を DeepSeek R1 と OpenAI の o1-pro の間に位置づけており、革新的とまでは言えないとしています。

価格設定の論争

特に価格戦略について議論を呼んでいます。 Grok 3 へのアクセスには、月額22ドルから40ドルに値上げされた X Premium+ の購読か、月額30ドルの SuperGrok 購読が必要です。これは Gemini Advanced 、 ChatGPT Plus 、 Perplexity Pro などの競合が設定する業界標準の月額20ドルの約2倍となっています。

価格比較:

  • X Premium+ と Grok 3:月額40米ドル
  • SuperGrok:月額30米ドル
  • 業界標準( ChatGPT Plus、 Gemini Advanced、 Perplexity Pro ):月額20米ドル

機能セットと制限

Grok 3 は DeepSearch 機能や推論モデルなど新機能を導入していますが、音声モードなど成熟したAIプラットフォームで一般的な機能の一部が欠如しています。Think機能は期待できるものの、通常応答生成に約2分かかり、ユーザーにとって大きな待ち時間となっています。また、より高速な Grok 3 mini バージョンとAPIアクセスはまだリリース待ちの状態です。

主な機能:

  • DeepSearch 機能
  • 推論モデル -「Think」機能(2分間の応答時間)
  • 未実装機能:音声モード、APIアクセス、ミニバージョン
Grok 3 の DeepSearch 機能の動作を示すスクリーンショット
Grok 3 の DeepSearch 機能の動作を示すスクリーンショット

市場への影響

予想外の展開として、 xAI はサーバーがダウンするまで Grok 3 への一時的な無料アクセスを発表し、値上げされた購読料を支払ったばかりの Premium+ 購読者の間で不満を引き起こしています。この動きは DeepSeek の最近の成功に対抗する狙いがあると考えられますが、 xAI の長期的な価格戦略と有料購読者への姿勢に疑問を投げかけています。

Grok の開発チーム

開発チームは、95年生まれの Yuhuai Wu や Jimmy Ba など、中国人人材が大きな役割を果たしています。これは地政学的な緊張が技術分野に影響を与える中でも、AI開発がグローバルな性質を持つことを示しています。