Video Game History Foundation(VGHF)が図書館を通じてレトロゲームをより利用しやすくする取り組みが大きな障壁に直面し、ビデオゲームの歴史的保存が議論を呼んでいます。物理的なゲームの貸出は合法である一方、これらの文化的資産のデジタル保存とリモートアクセスは規制の壁に突き当たっています。
ゲーム保存の現状
2010年以前にリリースされたビデオゲームの約90%が現在商業的に入手不可能となっており、その歴史的・文化的重要性にもかかわらず、法的には「死んだ」状態となっています。この保存危機は特に深刻で、書籍や映画とは異なり、ビデオゲームはリリース間で以下のような大きな変更が行われることがあります:
- サウンドトラックの違い(例:Sonic 3 のオリジナル版と再リリース版)
- ライセンス問題による内容の修正
- ゲームプレイに影響を与えるアーキテクチャの変更
- バージョン間のバグ修正や変更点
DMCA 免除規定を巡る戦い
米国著作権局は3年ごとに Digital Millennium Copyright Act(DMCA)の免除申請を検討します。VGHF と Software Preservation Network は以下を可能にする免除規定を提案しました:
- ゲームコレクションへのリモートアクセスの提供
- 複数ユーザーの同時アクセス(所有コピー数を限度とする)
- 研究と保存のための歴史的資料の利用
しかし、10月18日、著作権局長官の Shira Perlmutter は Entertainment Software Association(ESA)などの業界団体の主張を支持し、一度に1人、対面での利用に制限する既存の規制を維持しました。
保存のジレンマ
現状では以下のような課題があります:
- 物理的制限 :図書館は希少で収集価値のあるゲームの盗難や破損のリスクに直面
- アクセスの障壁 :対面要件により研究者や歴史家のアクセスが著しく制限
- 商業的利用可能性 :購入不可能なゲームでも、著作権制限により合法的なデジタルアクセスが不可
業界の立場
ESA などの業界団体は以下のように主張しています:
- デジタル貸出がレトロゲーム市場を損なう可能性
- DRM 保護が回避される可能性
- 配信権は権利所有者のみが持つべき
今後の展望
商業的に入手不可能な製品に対して、配信義務を課すか著作権を失効させるべきだと主張するコミュニティメンバーもいますが、これが小規模クリエイターやインディー開発者に新たな課題をもたらす可能性を指摘する声もあります。知的財産権を尊重しながらゲームの歴史へのアクセスを合法的に維持する方法を、保存活動家たちが模索し続けている中で、この議論は続いています。
現在のところ、図書館やアーカイブは、ゲームの歴史の大部分が合法的な手段でのアクセスが困難になりつつある中でも、一人・対面モデルでの運営を続けざるを得ない状況です。